はじめまして、盛岡。

はじめまして、盛岡。

用事があってどこかを訪れる際、そのまま帰るのはもったいないからと周りの街も周遊して行こうとする習性は、大学生の頃に身につけた。出来れば行きと帰りは異なる経路を取りたい、あわよくば美味しい名物と地酒が堪能できたらこの上ない、と旅を続けてそろそろ10年になる。

途中の4~5年はコロナ禍だったが、そういった状況下に置かれたらそれはそれで出来る限り楽しもうとしていたし、つくづく移動することは私のライフワークなんだと思い知る。

今回は友人の結婚式に参列するため岩手の北上を訪れた帰り、盛岡へ立ち寄った(というより北上した)1日のお話です。

Leica M10 / Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4MC

駅の地上ホームにある改札を抜けて、目の前に1番線という光景。かつてはどこでも見られたけど、最近では減ってきているように感じられます。この日は休日なのに、学生も結構多く乗っていたみたい。

Leica M10 / Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4MC
Leica M10 / Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4MC

大学生の頃、地元新潟に暮らしながらも東京に強い憧れがあった私は、長期休みのたびに青春18きっぷを購入して東京へと遊びに行っていました。片道7時間もかかったけど、道中に本を読んだり、車窓を眺めたりしていた。その時に読んでいた辻村深月さんの『スロウハイツの神様』という本は、雪の中走る上越線の景色を思い出させてくれる。

Leica M10 / Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4MC

盛岡駅に到着して、駅舎の外にでたら爆音で音楽が聞こえてきた。ちょうど盛岡市内の複数会場で開催するフェスの日だったようで、この後も街なかでライブキッズを多々目撃することになる。

Leica M10 / Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4MC

盛岡といえば、ニューヨーク・タイムズ紙で「2023年に行くべき52ヶ所」に取り上げられてから記憶が新しい。えっ盛岡?金沢とか松本なら分かるけど、何が盛岡をそんな地位まで!?って驚いてから、ずっと行きたいと思っていた街なのでようやく来られてとても嬉しい。駅前の大通りにさっそく良さそうな喫茶店を見つけて、これはいい街に違いないと確信した。

Leica M10 / Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4MC
Leica M10 / Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4MC

と、NYタイムズ紙に取り上げられていた開運橋のジョニーさんへ。ジャズスポットって聞くと敷居が高いように感じていたけど、入ってみたらママさんが気さくに話しかけてきてくれて居心地は良かった。

穐吉敏子さんというピアニストの方のコレクションも収集されているようで、いろんな音源を聞かせてくれたり、直近のライブ情報も教えてもらった。95歳になるという穐吉さんは、先月も都内で演奏していたらしい。すごい。

Leica M10 / Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4MC
Leica M10 / Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4MC

まちの真ん中を、川が流れている景色が好きだ。新潟の信濃川、金沢の浅野川、松本の女鳥羽川。ここ盛岡には中津川が流れていて、堤防は過度に護岸されておらず自然に囲まれているから気持ちが良い。

Leica M10 / Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4MC
Leica M10 / Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4MC

今回の一番の目的地、BOOKNERDさんへ。まだ大学4年生だった頃、奈良の小さな本屋さんで『私を空腹にしないほうがいい』を手に取ってから、こんな素晴らしい本を出版された本屋さんは素敵な場所に違いない、と行きたい想いを抱き続けて早7年。ようやく来れました。

こんにちは。もの(@monono_16)です。 先週末は #たけさんぽ東京 が開催されてましたねー。普段読んでるブログを書いてる方々とお話できる絶好の機会なのに…
mono16.com
Sony α7ii / Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA

これは購入した日に、待ちきれず書店の横のカフェで読もうと思って撮った写真。初版が2018年8月19日の発刊、私が購入したのが9月24日。これだけベストセラーになった本の初版が手元にあるのは、密かな自慢です。

その日のうちに東京へ戻らねばだったので、荷物は増やせない…と思いつつ、しっかり5冊を手に取りレジへ。店主さんから「れいんちゃん、昨日も来てたのよ〜」と教えてもらって、本当にこの街に暮らしてらっしゃるんだなあと、なんだかそわそわ。

Leica M10 / Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4MC
Leica M10 / Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4MC

中津川の川沿いにある、ふかくさという喫茶店へ。

本屋さんで本を買ったらその足で喫茶店へ向かい、珈琲を飲みながらその本を読む。ああ、ほんっとに良い日曜日。気候は冷涼で過ごしやすいし、欲しかった本は買えたし、これ以上何を望むというのだろうか。

Leica M10 / Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4MC
Leica M10 / Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4MC
Leica M10 / Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4MC

望んでしまった。

友人におすすめしてもらった、羅針盤という喫茶店。喫茶店のハシゴなんて優雅すぎる。

私は贅沢をしすぎたと感じた時に、「調整」といって意図して真逆の行動をとり、自分の人生をプラマイゼロに戻そうとするクセがある。行きたかった本屋さんに行けて、素敵な喫茶店を2軒もハシゴなんてしてしまったら、しばらく納豆ご飯と味噌汁で暮らすくらいの調整をしないと、罰が当たってしまいそうな気さえする。

Leica M10 / Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4MC
Leica M10 / Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4MC

今朝は日の出が早かった、ということは日の入りも早い。普段暮らしている街より、東にいるという証拠だと感じる。秋のつるべ落としとはよく言ったもので、さっきまで明るかったと思ったのにあっという間に夜がやってくる。

昼間は汗ばむほど暑かったのに、日が落ちたら驚くほど涼しい。この涼しさが季節の変わり目を告げてくれ、「ああ、これが1年中続いたら良いのに…」という豊かで明るい秋の季節は、爆速でかけぬけて行く。

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